こんにちは、社会保険労務士us.officeの梅津と申します。
飲食業では、売り上げが上がっている・上がっていくタイミングにも関わらず、社内の問題で足を引っ張られる、という状況が少なくありません。
本業の調子がいいときに、他の要因でチャンスを無駄にしないためにも、労務管理は必要不可欠です。今回は飲食業で起こりがちな問題について、社労士の観点からお話していきます。
まず、今やどの業界でも言われていることですが、人材の確保が一番の問題です。求人を出しても人が集まらない、1日や2日で来なくなる、年収の壁を意識して一番忙しい年末に人手が不足する、、、など。
人手が足りないから求人を出す→誰でもいいからと応募があった方を吟味せずに雇用する→人手が足りないので教育を行う時間がない→教育もなくいきなり忙しい環境に不満が出る→すぐに辞める→人手不足になる
上記のように人材悪循環に陥ってしまうと、なかなか抜け出すことが難しくなります。
タイミーやロボットなどの新しい対応方法も出てきていますが、やはり社内でしっかりとした人材を確保することが一番好ましい状態でしょう。
① 人手不足になる前に余剰の人員について考えておく
② 新人の教育ができる環境を作る
③ 年収の壁を気にせずに働けるような給与体系を作る
④ キャッシュレス決済など効率化できる業務を推進する
なかなか目がいかない部分かもしれませんが、人材について悩んでいるお店が多い中、社員・アルバイトの定着が実現できると、サービスが向上し他店舗との差もより明確になっていきます。
なお、近年業界内の給与水準はどこも横ばいです。同じ業界で他会社に転職したからといって、給与が大幅に変わるということはあまりありません。
そのため、有給が望んだ日に取れる、勤怠管理がきちんとしており給与が正しく支給される、賄いなど福利厚生が充実している、など給与以外の部分を整えることが非常に重要になります。
次に、労務関係の手続きについて。
入社や退職の際に手続きが発生することは把握している方も多いかもしれませんが、漏れやすい手続きもあります。
小規模の個人でやられている飲食店で、パートを1名だけ雇用しているというケース。週20時間も働かず、雇用保険もかからないため手続き不要と思っているかもしれませんが、一番最初に雇用したとき及び毎年6月には労働保険、いわゆる労災保険の手続きが必要になります。こちらは納付しなければいけない保険料も発生します。
次に、小規模ではなく多店舗展開するケース。
基本的に多くの手続きは会社単位ではなく、事業所つまり店舗ごとでの対応が必要になります。そのため、1店舗目で手続きが完了していたとしても、2店舗目を出店したときは新たに手続きをしなければいけません。
1店舗目と2店舗目をまとめるような手続きもあるため、正しく行っていなければ届出が煩雑になったり、保険料申告漏れの原因になってしまいます。
その他、賞与(ボーナス)を支給した際や給与を変更した際、手続きは事業を行う上で避けては通れない業務のため、漏れのないようにきちんと行いましょう!
勤怠管理や手続きなど、労務管理は専門的な知識が必要になり、問題が大きくなってから浮き彫りになるため、初期段階で目を向けることが少ないかもしれません。
ですが、本業以外の業務が足を引っ張り本業に集中できなかったり、見込んでいた売り上げを上げられないということがあるため、事前に専門家などに相談の上、環境を整えることをお勧めいたします。
Ringには開業に関する様々な分野のプロが沢山在籍しております。
どんなことでもお気軽にご相談ください。